〇足漕ぎカヤックが可能にした様々な釣法
前回、私がカヤックに出会うまでの物語と「はじめてのカヤックフィッシング」に必要な基礎知識を紹介させてもらった。今回は、HorizonWalkerのアンバサダーとして、Cirrusの可能性を開拓している私がどんな思いの基にどんな釣りに挑戦してきたのか、その成功談や失敗談、オススメしたい仕掛けやタックル等も合わせながら記述させていただきたいと思う。
なお、前回の記事にも記載させていただいたが、私はプロでも何でもない、ただ海の研究に携わったことがある理系大学出身の釣り人なので、ここで書かせていただく内容のクオリ
ティは素人の域を出ないと自覚しているが、あえて自信をもちながら語ってみたいと思う
(単純に文章を作ることの楽しさにはまっているだけであるが)。
なので、あくまで「こういうカヤックアングラーもいる」という海のような広い心で記事を読んでほしい、と自分に保険をかけておく。
ここで一言に釣法と言ってもその釣り方には様々な種類が存在する。それらを一つ一つ解説していく。釣法の紹介前に、せっかくこのような貴重な場をいただいているので私がもっているYoutubeチャンネルを紹介させていただきたい。
Fishingkid channel ⇒
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こちらではCirrusを使用した実釣のようすを配信させていただいている。
ぜひご覧いただき、よろしければチャンネル登録をよろしくお願い致します。
では、気を取り直して…
・ジギング
カヤックフィッシングをしたことがある釣り人の99%は経験する釣法。カヤックフィッシングの代名詞、とまでは言い過ぎかもしれないが、カヤックでどんな釣りをするか迷っているのであれば、とりあえずここから始めておけば間違えないと豪語できる。
鉛やタングステン(中にはアルミや鉄製も)のルアーを海底まで沈め、ワンピッチやただ巻き等の巻き上げで逃げる魚を演出し、魚食性魚に捕食させる釣法であり、使用するタックルにはスピニングリールタイプとベイトリールタイプがある。
この2種類のタックルにはどのような特性があるのだろうか、それぞれ見ていこう。
【スピニングリールタイプ】
岸からの釣りにおいて広く使用されており、釣り人なら一度は触ったことがあるであろうリール。
ベールを返すことで重力に任せてルアーを沈めていき、ハンドルを回すことで連動するスプールが糸を巻き取っていく。いわゆるドラグ音を聞くことができるリールで、大型の魚が掛かった時のファーストランで「ジジジジジジジジジジ!!!」とリールが唸った時にはその音だけでアドレナリンが脳内に溢れる。
釣りのどの要素が好きになるかは人それぞれだが、中にはこのドラグ音でリールを決める人がいるくらいである(私はSHIMANOのSTRADICが放つドラグ音が好き)。
ショアジギングもカヤックフィッシングもする釣り人であれば、スピニングリールは非常に汎用性が高く、一石二鳥にも三鳥にもなる。
音だけでなくドラグのブレーキング力も優秀で、魚の急な動きにも滑らかに糸を出していくことで、のされにくく糸のテンションも一定で掛かり続けるため針も外れにくい。一方で、巻き取りや投下時にベールを返す一手間があるため、魚探に反応が出て「今だ
!!」と仕掛けを落とそうとしても若干のもたつきが生まれてしまう。
また、着底したルアーを巻き取る前にもベールを戻す必要があるため、見切りの早い魚に対して相性が悪い(とは言ってもこの問題は慣れと技術でカバーできる)。
【ベイトリールタイプ】
船からの釣り、と言うより垂直な釣りに相性がいいリール(普通にキャスティングしている方もたくさんいらっしゃる、見習いたい)。
スピニングリールの弱点である「ベールの操作」が省かれ、親指一本でクラッチの
ON/OFFを行うことができる。魚探の反応が出た瞬間にクラッチをOFFにし仕掛けを投入、着底した瞬間ハンドルを巻くだけクラッチがONになり、巻き上げを始めることができる。
ジギングは魚の捕食における反射的な習性を利用してルアーを食わせるため、着底した瞬間に巻き上げることで、「ヒラヒラと降ってくる弱った魚が着底した瞬間に力を振り絞って逃げ出す」という演出をすることができ、結果的に釣果につながることがある。ベイトリールはその点において優れている。
だがベイトリールにはドラグ音が備わっていないものが多い。大型の魚が掛かった時に静かに「シャーーーーーーーーー!」と糸が出ていく様子を見ると、どこか寂しさを感じてしまう(中にはドラグ音システムという、ドラグ音が出るタイプのベイトリールもある)。
また、ドラグのブレーキング力に関してはスピニングリールの方が優れている。ような気がしている。
スピニングリールは1%単位で糸の放出を調整しているのに対し、ベイトリールは5%刻みくらいの「雑さ」のようなものを感じる。大物が掛かった時、明らかにドラグが出ても
いいような力が加わっても糸が放出されず、かと思えばある力以上になると一気に糸が放出されてしまう。
持っている側としてはリールにグイグイと振り回されているような感覚になり、それが原因で大物をばらしてしまったことが何度かあった。
【ヨコシが使ってるジギングタックル】
小さな魚から大きな魚まで狙える魚種は様々なカヤックフィッシングで私がどんなジギングタックルを使用してきたか、使用感やコスパを経験則を交えながら紹介していく。(現行のタックル以外は売ってしまったので細かい品番には誤りがあるかもしれない。
また金額を記載するがそれは2023年9月時点のものであり、サイトによって若干の変動があることを承知していただきたい)
〇DAIWA鏡牙X63B-3(¥15,500公式) + SHIMANO 19バルケッタ150DH(¥31134)
タチウオジギングに挑戦しようと遊漁船を予約し、意気揚々と釣り具屋で「今からタチウオジギング行くのでタックル仕立ててください!!」とお願いをして手に入れたタックル。程よい固さがあるためジグが操作しやすく、ジギングというものがよくわからなかった私でも初めての遊漁船でドラゴンサイズが釣れて釣果報告に写真が掲載してもらえた、私のジギング魂に火をつけたタックル。
タチウオ以外にもマルソウダや鯖なども普
通に釣れる汎用性の高いタックルだった。リールにカウンターがついているため水深を測りやすく、棚が頻繁に移り変わるタチウオジギングでは非常に役に立った。ダブルハンドルのかっこよさに釣られて購入したがいいが、ダブルだから良い、シングルだから良いという実感はあまり無かった。
〇DAIWA 鏡牙 AIR 64S-3(¥15,800公式) + DAIWA LEGALIS 4000CXH(¥13,600公式)
ベイトタックルに若干の使いづらさを感じていた私がワンピッチジャークに重点を置きたいと思って揃えたタックル。まず言っておきたい、カヤックフィッシングで4000番台のリールは、今思えば非常に使いづらかった。
何よりもその大きさが狭いカヤックの上では障害となった。なぜわざわざこんな大きいリールにしたのか?ショアジギングで使っていたリールを転用したからである。後述するが現在私はスピニングタックルに3000番のリールを使用している。
やはりカヤックの上はコンパクトであるほど良い、という結論に至っている。竿の評価を一言で言うならば「ちょっと柔らかすぎた」。
もちろんこのロッドで40cm程度の真鯛も70cm程度のワラサも1m近いシュモクザメも釣ることができた、釣り具メーカさんのたゆまぬ努力には頭が上がらない。
しかし、柔らかいということは力を加えても竿のしなりに吸収されてしまい、ルアーがシャカシャカと機敏に動けないのである。ルアーを素早く動かそうとしてしゃくりが激しくなり、疲れやすくなってしまった。今改めてこのタックルを使用するならば絶対にSLJ用として活用するだろう。柔らかい竿は速い誘いに不向きであることを学ぶタックルだった。
〇DAIWA 鏡牙 AIR 64S-3(¥15,800公式) + SHIMANO 19STRADIC 4000XG(¥22,407)
「棚に展示されているリールを買う時が来たか…」と謎の意気込みをもって購入したリール。何を思ったのかまた4000番を買う愚行に走った。巻き量が70cmから101cmになったため深場の釣りが少し楽になった。
同時にレガリスのコスパの良さに気づき「なんで売っちゃったんだろ…」と若干の後悔もあった。
〇DAIWA VADEL J60MB(¥19,900公式) + DAIWA VADEL BAY JIGGING 100SHL(¥19,400公式)
「時代はスロージギングだ!!」と何に影響をされたか分からないがスロージギングに目覚めようとした私が買いそろえたタックル。右巻き派なのに「店頭にこれしかなかった」という理由でL(左巻き)モデルを購入。これが地獄の始まりだった。
タックルに欠点があるかと言われれば、無い。130~150g程度のジグを軽くしゃくれるバットの反発力。ロッド全体がしなやかにしなるため、糸ふけが穂先に絡まりづらい。巻き取り量は75cmで、スローな誘いにも速い誘いにも対応できるまさにオールラウンダー。
ベイトリールのジギングタックルが揃えたい方にぜひおすすめしたい。ただ、左巻きなのがツラすぎた。購入したものに後悔したくない私は左巻きリールの使いづらさに対し
「ほうほう、君はそんな感じね、いいよ、攻略してあげる」
と意味不明なメンタリティで対応していた。ただ、慣れというのは本当にすごいもので、今使用してるオシアコンクエストはなんと、30「1」XGだ。今後右巻きでベイトリールジギングをする日はこないだろう。
〇SHIMANO GRAPPLER BB Type Slow J(¥20.800公式) + SHIMANO GRAPPLER 301HG(¥33,000)
「中深海…アカムツ…スロジギ…」と中深海の呪いに掛かり始めた私が後先構わず購入したタックル。ここからは全てCirrusで使用したタックルとなる。値段に見合う釣果はあった。
水深15mから水深330mまで250gのジグ一本で何でも釣れる、しかもルアーが大きいためか釣れる魚は良型ばかり、ワラサ、カンパチ、メジマグロ(リリース対象魚)などの青物、アオハタやオオモンハタ、アカハタ等の根魚、ホウボウや甘鯛等の底もの、釣果を上
げればキリがなく、釣り人生史上最も釣果を上げたタックル。
スロージギングはフォールによる誘いに特化した釣法で、ルアーの形状による落ち方や模様が絶妙に魚の捕食習性を刺激してくれる。つまり釣り人は何も考えなくてよい。
上げて、落として、上げて、落として、上げて、落として、あ、食った。となる釣り。これによって海をより観察できるようになったのも、このタックルにしてからの成果言ってよいと思っている。
釣り人なら誰しも考えると思うが海のようすと釣果には深い関係があると信じている。潮流の向きや海の色、水温等その要素を上げれば無限に出てくるが、スロージギングは「正しい場所」に落とせばほぼ百発百中で釣れる。私はその正しい場所を「周辺との違和感」と結論付けている。一番わかりやすい例が「潮目」。
性質の違う潮がぶつかり合うことで独特の海流が生まれ、餌となる動物プランクトン、それらを捕食する小魚、それらを捕食する大型魚が集まりやすいと言われている。実際に水中を見たことは無いし、魚探に顕著な反応が出てくるかと言われれば首を傾げてしまうような状況でも、とりあえず「潮目ハンター」にさえなっていれば一定の釣果が保証されているところをみると、やはりその通りなのだろう。
他にも凪の海なのに海面の一部がモヤモヤとしていればその下にベイトが溜まっている可能性が高いし、流木が流れていればシイラがついている可能性が高い、というようにとにかく違和感を徹底的に探っていくことがスロージギングにおいては特に重要だと感じさせてくれる、自分の海の見方を変えてくれた素晴らしい釣法である。
弱点は「疲れる」以上。
〇SHIMANO GRAPPLER BB Type Slow J(¥20.800公式) + OCEA CONCEST 301XG(¥51,200)
スロージギングの究極形態。現行のスロジギタックル。もう怖いものはない。中深海?浅い浅い。
大学生のころ友人が言っていた「釣り竿なんて鉄パイプとか竹でいいんだよ、とにかくリールに金掛けろ」というセリフが思い起こされるほど、自分の釣り具への価値観を根底から覆すリールに出会ってしまった。
片付け中にコンクリートに「ガッ!」とぶつけるとその日は一日寝込みたくなるほど落ち込む。どんな道具でも大事にしよう。
〇DAIWA VADEL LJ63XHS(¥21,500公式) + DAIWA LEGALIS 3000D-C(¥13,600公式)
現行のスピニングジギングタックル。ここではリールのレガリスの良さを伝えたい。
私はアジング、エギング、ショアジギング、ジギングと全てのリールでレガリスを使用している。まずコスパが良い。1万円ちょっとでここまでの性能を見せつけられたら。そりゃ買っちゃうよね、と安心・信頼を与えてくれる。リールの中にはLTというコンセプトのシリーズがあり、これが意味するところは「Light・Tough」。つまり軽くて丈夫なのだ。
そして3000D-CのCは「コンパクト」、3000番のスプールで2500番のリールと同じボディサイズである。そしてディープスプールのDという性質によってラインキャパが多く、釣りが可能な水深の幅が広がる。
ちなみにロッドが推奨する最大ルアー重量150gだが、実際には40g~80gのルアーを使用している。60gのルアーのしゃくり感が最も扱いやすく。最大級にタックルの性能を引き出すことができていると感じる。1時間かかったが1.2号のPEラインで特大のブリも釣りあげることができた。軽くて小さくて強くて使いやすい、そんなレガリスを私はこれからも愛用していきたい。
〇おまけ
・ジグサビキ
とにかく釣果を上げたい時にジグサビキを使うという方法がある。エソを始めとする外道も釣れやすくなるがアジやイサキ等釣れてうれしい魚もやってくる。ZeakeのMサイズがオススメ。なぜかよく食ってくるし、糸がへたりにくく針が錆びづらいため繰り返し使うことができる。
ジギングだけでもりもりの内容になってしまって申し訳なく思っている。後悔はしていない。
次回は「タイラバ」について紹介させていただきたい。最後まで読んでくれてありがとうございました。
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